🌙 ムスリムのための葬儀費用ガイド|洗体・搬送・埋葬まで【日本での目安】
🕌 はじめに
「もし家族が亡くなったらどうすればいいの?」
日本で暮らすムスリムの方々にとって、葬儀の流れや費用は非常に大切なテーマです。
イスラームの教えに沿って大切な方を送り出すためには、正しい知識と準備が欠かせません。
この記事では、
- 葬儀の流れ
- 費用の内訳と目安
- 依頼先の選び方
- 費用を抑えるコツ
をわかりやすく解説します。
1. イスラームの葬儀とは?
イスラーム葬は、日本の一般的な葬儀とは大きく異なります。
派手な儀式や焼香、火葬は行わず、亡くなった方の尊厳を守り、できるだけ早く埋葬するのが特徴です。
「私たちはアッラーに属し、やがて必ずかれに帰るのだ。」(クルアーン 2:156)
この言葉が示すように、死は終わりではなく「アッラーへの帰還」。
イスラーム葬はこの信仰に基づいた穏やかな儀礼です。
主な流れ
- 洗体(グスル):亡くなった方の身体を清める儀式
- カファン(白布):遺体を白い布で包む
- ジャンナーザ(葬礼の祈り):共同体で祈りを捧げる
- 埋葬(ダフン):できるだけ早く、土葬によってアッラーに帰す
2. 葬儀費用の基本構成
日本でイスラーム葬を行う際の費用は、以下の5項目が基本となります。
| 項目 | 内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 洗体・カファン | 清め・白布などの準備 | 3万円〜10万円 |
| 搬送 | 病院・自宅→モスク・墓地 | 3万円〜8万円 |
| モスク利用費 | 葬礼場所の使用料 | 0円〜3万円 |
| 墓地使用料 | イスラーム墓地の区画料 | 30万円〜80万円 |
| 埋葬費用 | 掘削・人件費など | 10万円〜30万円 |
💰 合計目安:50万円〜120万円前後
ただし、モスクやイスラーム協会の支援・寄付制度がある地域では、実際の負担が軽くなる場合もあります。
3. 葬儀の流れを詳しく見る
① 病院での死亡確認と連絡
医師の死亡診断後、すぐにイスラーム協会・モスク・葬祭社へ連絡。
信徒ネットワークで搬送・洗体・埋葬まで手配が進められます。
② 洗体(グスル)
同性の信徒や葬祭担当者が行います。
ぬるま湯で清め、香料を少量用いる場合も。身体の尊厳を最優先に扱います。
③ カファン(白布で包む)
男性は3枚、女性は5枚の白布で包むのが一般的です。
縫い目や装飾はなく、布で静かに結ぶのみ。質素と平等の象徴です。
④ ジャンナーザ(葬礼の祈り)
モスクまたは祈祷スペースで行われます。
イマームの導きのもと、参列者が立ち祈りを捧げます。
(屈みやプロストレーションは行いません)
⑤ 埋葬(ダフン)
イスラームでは火葬を行わず、土葬が原則。
右側を下にして、カーバ(メッカ)に頭を向けます。
埋葬は「土から生まれ、土へ還る」教えを体現するものです。
4. 日本でイスラーム墓地を探す方法
日本では土葬が可能な地域が限られているため、以下の方法が有効です。
- モスクに相談(清水・文殊院・高麗寺など)
- 日本ムスリム協会・イスラミックセンターへ問い合わせ
- 自治体の宗教法人墓地リストを確認
代表的なイスラーム墓地:
- 清水霊園イスラーム墓地(静岡)
- 文殊院イスラーム霊園(山梨)
- 高麗寺国際霊園(京都)
- 大阪イスラーム墓地(大阪)
5. 費用を抑える3つの工夫
- モスクとの事前連携
→ 緊急時でもスムーズに手配でき、費用トラブルを防げます。 - イスラーム葬基金・互助会を活用
→ 一部モスクや団体に葬儀支援制度あり。 - 共同区画を選ぶ
→ 個人墓より費用が半分程度に抑えられることも。
6. 支援してくれる団体・業者の例
- 日本イスラーム文化センター(東京)
- 大阪イスラミックセンター(関西)
- ジャパン・ハラール協会(全国支援)
- 各地モスク(広島・名古屋・福岡など)
問い合わせ時には必ず「イスラーム葬対応可かどうか」を確認しましょう。
7. 日本の法制度とイスラーム葬の調和
日本では火葬が主流ですが、
自治体の許可を得れば土葬も可能です(墓地埋葬法に基づく)。
埋葬には「埋葬許可証」が必要なため、死亡届提出後に必ず取得しましょう。
信仰を守りながらも法律を順守することが、共生の鍵です。
8. 最後に:準備こそ「安心」の第一歩
人の死はいつ訪れるかわかりません。
だからこそ、今のうちに学び・話し合うことが大切です。
「備えは、心の平安につながるアクション」
家族や仲間と一度、「もしものとき」について話してみましょう。
その一歩が、信仰に基づいた安心の準備になります。

